オーダーメイドジュエリー専門店 ADAM BLOG

こんにちは、アドバイザーの正田です。
今回は、アトリエの職人さんの製作の現場をお伝えしたいと思います。

アトリエではひとりひとりの職人さんが、
磨きや刻印、石留めなど様々な作業をしていて見ているととても勉強になります!

早速ですが、こちらは、、、


リングにダイヤを留めているところです。
細かい作業なのでルーペで見ながら留めていきます。
慎重な作業になるので、そーっと気配を消して撮影しました。

お次は、、、

リングの磨きの作業です。
傷ひとつないきれいなリングに仕上がります!
さすが職人技ですね!!

ふむふむ、、


こちらは、刻印を打っているところです。
少しでも場所がすれるとやり直しなので、すごい集中力です!!

 

もちろんのことですがアトリエには、工具や機械がところ狭しと並んでいます。


こちらは、リングの内側に文字を入れる機械。
ひとつひとつ手作業で入れた文字は、ぬくもりがあって魅力的です。


こちらは、リングを切削したり、テクスチャーを入れる機械。
どの機械も存在感があって、絵になりますね!

人の手で丁寧に作られたものは、
雰囲気があってずっと大切にしたくなりますね。

そんなものづくりが行われているアトリエからお伝えしました!

また、職人さんの雄姿をお伝えします。

お楽しみに~♪

婚約指輪・結婚指輪のオーダーメイドジュエリー専門店「ADAM〈アダン〉」
TEL / FAX 03-3418-7008 10:30 〜 16:00(土曜のみ18:00まで) 水曜・日曜定休

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代表の藤森です。

アダンADAM店頭とアトリエにて撮影を行った、任天堂のゲーム機Wiiを使って視聴できるインタラクティブTV「Wiiの間」の中のドキュメンタリーシリーズ番組「修理魅せます」 のジュエリー編の放映が先日より開始されました。


撮影は、遡ること7ヶ月前。東日本大震災の前後に行いました。
撮影の様子は、こちらの記事をご覧下さい。

撮影の様子 その1 修理ご依頼の接客シーン
撮影の様子 その2 修理作業シーン①「サイズ直し」
撮影の様子 その3 修理作業シーン②「石留め」
撮影の様子 その4 「出来上がり」


↑ 撮影は2011年3月、4月にを行いました。

残念ながらWiiを持っていて、しかもそれがネットに繋がっていないと見られない番組なのですが、さすがは任天堂さん、番組制作には予算をかけていて、制作は「情熱大陸」や「世界ふしぎ発見」など、ドキュメンタリー番組制作で有名なテレビマンユニオン社、ナレーションは石坂浩二という豪華なスタッフ陣。

そして修理依頼人のカップルも、こういった番組でありがちな、スタッフやモデルが演じるいわゆる”仕込み”のお客様ではなく、ちゃんと公募を行って選ばれた本当のお客様、という本格的な撮影でした。

番組は10分程度ですが、放映の内容を簡単にキャプション画像でご紹介します!

はじまりはじまり~。

今回の修理依頼人は~(と、石坂浩二の渋い声で始まります)、カナダ人の旦那様と日本人の女性のカップル。
旦那様が曾祖母から譲られた指輪を修理して、結婚する奥様に婚約指輪として渡したいというご依頼でした。

修理を担当するのは、当店一の凄腕クラフトマン、新藤研二です。

お預かりする指輪は、ひいおばあさまが、亡くなるときまでずっと大切に身に着けていたもの。指輪は、亡くなった時指から外す為に切断されてしまっています。

指輪には、7人の子どもたちの誕生石が入っていたが、一番端の2月生まれのアメジストの石が外れてしまっています。

今回の修理は、石を留めている石座ごと外れてしまってなくなってしまったアメジストを新たに石留めし、切断されたリングを繋ぎ合わせるという内容です。

まずは、石を留める石座の爪となる材料作りから。
70年前に作られたという指輪には、貴金属の種類を示す刻印がなく、切断面の色あいや表面の状態から、おそらく14金ゴールドであると推測して、地金作りから始めます。

金に、銅、銀、亜鉛などを加えて溶解し、ゴールド地金の塊を作ります。

貴金属地金は、1000度近くで溶解し始めます。
溶けた地金が良く混ざり合うように、手前から奥へ向かって火を当て、地金を攪拌させます。

そして、型へ一気に流し込みます。
火からはずすと一瞬で固まるので、きれいに型に流し込むのはまさに職人技です。

その塊を、今度はローラーで伸ばして行きます。爪に使う線は凡そ0.8mmの太さ。ローラーで伸ばし、地金が硬くなったら、焼きなましてやわらかくする、という作業を何度も繰り返し、細い線を作っていきます。

ローラーで細くした線を最後は線引き板で、綺麗な細い丸線に仕上げます。

爪の材料となる線が出来上がったら、今度はレーザー溶接機で、リングに爪を立てていきます

通常は、火を使って爪をロウ付けしますが、今回は石が付いた指輪で、石のすぐそばに爪を溶接しなければならないので、火を使うことが出来ない為、レーザー溶接機で作業。レーザーは温度は上がらないけど、誤って他の石に当たったら簡単に割れてしまいます。
神経を張り詰めて1時間ほどの作業。掛けてようやく4本の爪を取り付けました。

次は、切断された腕の修理。彼女の指のサイズに合わせ、本来のリングサイズより少し小さくしながら腕をつなぎ直します。

腕は力の掛かる部分で、レーザー溶接機ではしっかりと溶接が出来ないため、火を使って溶接します。
修理する箇所が石座と反対側なので、直接火は当たらないのですが、金地金は熱伝導が良いので、石に熱が加わると痛めてしまいます。

そこで、石座全体を濡れたティッシュで包んで作業します。
濡らしたティッシュは、ジュウジュウ音を立てて蒸発しますが、完全に乾ききらなければ、その部分は100度以上にはならないので、石が熱から守られます。

ロウ付けは一回勝負。作業する新藤も、撮影するカメラマンも集中して緊張感たっぷりでした。

無事、ロウ付け成功!
つながった腕の部分を磨いて仕上げます。

いよいよ、最後の作業、アメジストの石留めです
レーザーで溶接した4本の爪で、アメジストを留めていきます。
まずは石座作り。アメジストの形にあわせ爪を削り、石が思い通りの高さでぴったりと収まるように調整します。

そして、鏨(たがね)を使って、少しずつ爪を倒していきます。石に傾きが出たり、かかる力のバランスが崩れないように、対角線上の爪同士に同じだけ力がかかるようにします。

無事、アメジストがきれいに石留めされました!

最後にリング全体を仕上直し、その他の石をきれいに洗浄して、いよいよ修理が完成です。

出来上がった、リングがこちらです!

切断されていたリングは無事きれいにつながり、アメジストが入り7つの誕生石が元通りに並びました。

出来上がったリングをいよいよお二人にお渡しします。
ケースを開けるのをお互いに譲り合う微笑ましいお二人。

まずは出来上がったリングを見て、歓声を上げる彼女。

いよいよ、彼がひいおばあさまのリングを彼女の指に通します。サイズもぴったりでした!

元通りになり彼女がはめたリングを見て彼が一言。
「まるでタイムマシンみたいですね」

なんて素敵な感想をありがとうございます!

撮影用にわざわざ準備されたものではなく、非常に貴重なリングの難しい修理だったので、撮影を抜きにして無事修理できるか、新藤をはじめスタッフ一同かなり心配でしたが、無事修理が出来上がり、そしてお二人にも喜んで頂き、大震災をはさんで2ヶ月間にわたった撮影の苦労も吹き飛びました。

このような貴重なチャンスを頂いた任天堂さま、撮影・製作をされたテレビマンユニオンの皆様、そして我々に貴重な指輪を修理を任せていただいたお二人に、心から感謝いたいます!

 

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TV撮影の報告、最終回。
いよいよ、修理完成です!

これまでの記事はこちら↓
その1「修理ご依頼の接客シーン」
その2「修理作業シーン①サイズ直し」
その3「修理作業シーン②石留め」

 

サイズ直しと石座制作と石留めまで、無事終了して、最後にリング全体を仕上げ直しを行い、いよいよ、修理完了です!

修理開始から約6時間、無事出来上がったリングの写真はこちらです!!

一番左に入っている、紫色のアメジストが今回お入れした石。他の石は、長年使い込んでいて表面が少し磨り減ってしまっていますが、一つ一つ丁寧に洗浄し、新しく入れた石と違和感が無いくらい綺麗になりました。

撮影をどのように進めるか、ということより、実際に修理が可能かどうかが一番心配でしたが、何とか無事完了して、新藤をはじめアトリエのスタッフも全員で一安心でした。

お客様が海外渡航前でご多忙と言うことで、お渡しは、翌日、TV制作会社の方がご自宅へ納品に伺ってくれました。

お喜びいただけるか、ドキドキして連絡を待ちましたが、製作会社の担当の方から無事お渡しできたとの連絡があり、翌日お客様から以下のようなメッセージを頂きました!

 

「このたびはこのようなチャンスをいただき、本当にありがとうございました。
古いもののため、どのくらい修理に費用がかかるのかわからず躊躇していたリペアでした。

今回の地震のあとにでき上ってきたというのもまた、なにか意味があるような気がします。
家の中ものがすべてひっくり返り、古くなったもの・使わないもの・いつ使うかわからないものなど、どんどん処理しています。断捨離、実践です。

本当に残したいもの、ずっと使っていきたいものは何かと思ったら、やはり思い出のあるもの、歴史のあるもの、それ相当の価値のあるものなのではないでしょうか。

昨日から指にはめたままですが、さっそく今日オフィスでリングに気がついた人から声をかけられました。このリングが私の指にあるのは、本当に見るたびに喜びです。

本当に今回のチャンス、ありがとうございました。」

 

新しくオーダーメイドでお作りするジュエリーも、もちろん色々な難しさがあり、アトリエでは毎回頭をひねって試行錯誤して制作していますが、やはりお預かりしたジュエリーの修理や加工が、一番経験と工夫が必要になるなぁと改めて実感しました。

また、なかなか修理の現場を映像として残すチャンスも無いので、こうやってきちんと撮影する事は、資料としても貴重なものになるのではないかと思っています。

それでは、みなさま放映をお楽しみに!
スケジュールがわかり次第またご報告します。

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TV撮影の報告の続きです!

これまでの記事はこちら↓
その1「修理ご依頼の接客シーン」
その2「修理作業シーン①サイズ直し」

サイズ直しが終わったリング、次は、いよいよ石入れです。

元々7人の子供の誕生石7つが入っていたリング、何かの事情でアメジスト1石が外れてしまい、その後ずっと6石だけ付いていたようですが、アメジストが外れてしまった石座も、綺麗に取り除かれていました。

なので、まずは石座の取り付けです。
現在、石が入っているすぐ隣に、アメジストを入れるための新しく石座を作り、そこへ石留めします。

石座は4本の細い線で出来ていて、その線で爪留めにて石を留める方法です。
まずは、爪になるゴールドの細い線を作ります。

ゴールド地金を溶かして、塊を作り、ローラーで少しずつ伸ばしていき、最後は写真のように、万力を使って線引き版を通して、細い金の線を作ります。

次に出来上がった線をリングに溶接します。通常はガスバーナーで石座の線を溶接しますが、今回は、すぐ隣に石が入っているため、火で加熱する事が出来ません。

ここで、今度は本当の秘密兵器、「レーザー溶接機」の登場です。
レーザー溶接機は、0.1mm単位の小さな場所だけ、瞬間的に数千度まで加熱する事が出来るので、
周りに影響なく溶接が可能です。

レーザー溶接の様子の撮影は、レーザー溶接機に、特殊なマクロ撮影用のカメラを突っ込み溶接の瞬間を捉えます。我々も肉眼では見たことの無い映像で、驚嘆でした。

かなり苦労しましたが、何とか4本の線をリングに溶接完了。くっついても強度が無いと、肝心の石留めの際に爪がもげてしまうので、溶接の具合をよく確認しながらの作業でした。

次に、ヤスリを使い、溶接された4本の線を、石に止める爪に仕上げていきます。

いいアングルからのカットを取るためのカメラマン魂もすごいですが、新藤もカメラマンも要求にこたえて体をよじりでかなり不自然なポジションで作業したりしました。

そして、いよいよアメジストの石留めです。

このときも、マクロカメラで、スーパーズームです。

ルーペでしか見えない世界をじっくり見れる貴重なチャンス。
カメラモニターを動画で撮影してみました↓

http://www.youtube.com/watch?v=oo9EOrO-9a0
http://www.youtube.com/watch?v=oo9EOrO-9a0

無事、綺麗に石留めも出来ました!心配したレーザーで溶接した爪の強度もバッチリで、しっかりと留まりました。

最後に全体を仕上げて、いよいよ完成です!!
撮影しながらだったので、ここまで作業開始からなんと6時間程度。おつかれさまでした!

次回、完成したリングをご紹介します。

おたのしみに~。

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さて、前回に引き続き、TV撮影の報告です!
<前回、「修理ご依頼の接客シーン」の記事はこちら 。>

撮影2日目は、いよいよアトリエでの修理の作業の撮影です。

修理の内容は、大きく分けて二つ。

 

まずは、サイズ直し。
現在のサイズだと、小さすぎて入らないため、エンゲージリングとしてお使い頂くために、サイズを広げます。

次が、取れてしまった石の追加取り付けです。
付いていたと思われる7つ目の石、アメジストをお入れします。

 

それでは、サイズ直しの様子から。

サイズを大きくする修理は、リングを一度切断し、大きくする分の金属(ジュエリー用語では地金と言います)を挟み込むように足して、溶接(ジュエリー用語ではロウ付けと言います)しなおし、サイズを広げます。

今回のリングのサイズ直しで難しいのは、アンティークに近い70年近く前のリングなので、拝見する限りはゴールドなのですが、地金の種類を表す刻印が無いのです。通常貴金属は、「Pt900」(プラチナ)や「SV925」(シルバー)といった刻印が入っていて、18金ゴールドの場合は、「K18」もしくは「750」という刻印があるのですが、お預りしたリングにはそういった刻印が無く、色合いなどから、14金のゴールドであると推測し、修理を進めることにしました。

地金の種類がわからないと、一番のリスクは、融点がわからないため、リングを溶接する際に、リング本体が解けたり崩れてしまったりする事です。
今回は、幸い、サイズを小さくするため、切り取った小さな地金の破片を使い、融点が予想以上に低くないことを事前に確かめることが出来たので、少なくともその心配はなくなりました。

次に難しい点としては、石が入っている指輪のサイズ直しなので、溶接の際に石に熱が伝わってしまうと、石が変色してしまったり、割れてしまったりするので、地金部分は溶かしながら、石には熱が伝わらないように工夫する必要があります。

そこで、登場する秘密兵器は「水に濡らしたティッシュ」です!

写真だと小さくてわかりにくいですが、石の部分に、濡れたティッシュを巻きつけ、そのまま酸素バーナーで石と反対側、サイズ直しをする部分を溶接します。
金は、熱伝導がそれほどよくないので、暫くは火が当たっている箇所だけが赤く熱されます。暫くすると、リング全体に熱が伝わり、ティッシュから激しく蒸気が上がりますが、水が蒸発しきらない限りその部分は100度を越えることが無いため、石が熱から守られます。溶接する部分は地金の溶ける約1000度に、石の部分は100度以下に。
すばやい手際と正確さが求められるまさに職人芸です!

特に修理でお預りするリングの場合は、一つしかないもので失敗は許されず、また今回のように地金の種類がわからない場合など、実際に火で熱してみないと溶接できるかどうかわからない一回限りの出たとこ勝負なのでなおさら。

無事、見事一回の溶接でサイズ直しが出来ました!

さて、次回はいよいよ石留めです。

 

 

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