[お仕事やお店の日常 アトリエ製作現場 メディア掲載<TV・映画・雑誌等>]【TV取材】撮影の様子 その4 「出来上がり」
TV撮影の報告、最終回。
いよいよ、修理完成です!
これまでの記事はこちら↓
<その1「修理ご依頼の接客シーン」 >
<その2「修理作業シーン①サイズ直し」 >
<その3「修理作業シーン②石留め」 >
サイズ直しと石座制作と石留めまで、無事終了して、最後にリング全体を仕上げ直しを行い、いよいよ、修理完了です!
修理開始から約6時間、無事出来上がったリングの写真はこちらです!!
一番左に入っている、紫色のアメジストが今回お入れした石。他の石は、長年使い込んでいて表面が少し磨り減ってしまっていますが、一つ一つ丁寧に洗浄し、新しく入れた石と違和感が無いくらい綺麗になりました。
撮影をどのように進めるか、ということより、実際に修理が可能かどうかが一番心配でしたが、何とか無事完了して、新藤をはじめアトリエのスタッフも全員で一安心でした。
お客様が海外渡航前でご多忙と言うことで、お渡しは、翌日、TV制作会社の方がご自宅へ納品に伺ってくれました。
お喜びいただけるか、ドキドキして連絡を待ちましたが、製作会社の担当の方から無事お渡しできたとの連絡があり、翌日お客様から以下のようなメッセージを頂きました!
「このたびはこのようなチャンスをいただき、
古いもののため、
今回の地震のあとにでき上ってきたというのもまた、
家の中ものがすべてひっくり返り、古くなったもの・
本当に残したいもの、
昨日から指にはめたままですが、
本当に今回のチャンス、ありがとうございました。」
新しくオーダーメイドでお作りするジュエリーも、もちろん色々な難しさがあり、アトリエでは毎回頭をひねって試行錯誤して制作していますが、やはりお預かりしたジュエリーの修理や加工が、一番経験と工夫が必要になるなぁと改めて実感しました。
また、なかなか修理の現場を映像として残すチャンスも無いので、こうやってきちんと撮影する事は、資料としても貴重なものになるのではないかと思っています。
それでは、みなさま放映をお楽しみに!
スケジュールがわかり次第またご報告します。
[お仕事やお店の日常 アトリエ製作現場 メディア掲載<TV・映画・雑誌等>]【TV取材】撮影の様子 その3 修理作業シーン②「石留め」
TV撮影の報告の続きです!
これまでの記事はこちら↓
<その1「修理ご依頼の接客シーン」 >
<その2「修理作業シーン①サイズ直し」 >
サイズ直しが終わったリング、次は、いよいよ石入れです。
元々7人の子供の誕生石7つが入っていたリング、何かの事情でアメジスト1石が外れてしまい、その後ずっと6石だけ付いていたようですが、アメジストが外れてしまった石座も、綺麗に取り除かれていました。
なので、まずは石座の取り付けです。
現在、石が入っているすぐ隣に、アメジストを入れるための新しく石座を作り、そこへ石留めします。
石座は4本の細い線で出来ていて、その線で爪留めにて石を留める方法です。
まずは、爪になるゴールドの細い線を作ります。
ゴールド地金を溶かして、塊を作り、ローラーで少しずつ伸ばしていき、最後は写真のように、万力を使って線引き版を通して、細い金の線を作ります。
次に出来上がった線をリングに溶接します。通常はガスバーナーで石座の線を溶接しますが、今回は、すぐ隣に石が入っているため、火で加熱する事が出来ません。
ここで、今度は本当の秘密兵器、「レーザー溶接機」の登場です。
レーザー溶接機は、0.1mm単位の小さな場所だけ、瞬間的に数千度まで加熱する事が出来るので、
周りに影響なく溶接が可能です。
レーザー溶接の様子の撮影は、レーザー溶接機に、特殊なマクロ撮影用のカメラを突っ込み溶接の瞬間を捉えます。我々も肉眼では見たことの無い映像で、驚嘆でした。
かなり苦労しましたが、何とか4本の線をリングに溶接完了。くっついても強度が無いと、肝心の石留めの際に爪がもげてしまうので、溶接の具合をよく確認しながらの作業でした。
次に、ヤスリを使い、溶接された4本の線を、石に止める爪に仕上げていきます。
いいアングルからのカットを取るためのカメラマン魂もすごいですが、新藤もカメラマンも要求にこたえて体をよじりでかなり不自然なポジションで作業したりしました。
そして、いよいよアメジストの石留めです。
このときも、マクロカメラで、スーパーズームです。
ルーペでしか見えない世界をじっくり見れる貴重なチャンス。
カメラモニターを動画で撮影してみました↓
http://www.youtube.com/watch?v=oo9EOrO-9a0
最後に全体を仕上げて、いよいよ完成です!!
撮影しながらだったので、ここまで作業開始からなんと6時間程度。おつかれさまでした!
次回、完成したリングをご紹介します。
おたのしみに~。
[お仕事やお店の日常 アトリエ製作現場 メディア掲載<TV・映画・雑誌等>]【TV取材】撮影の様子 その2 修理作業シーン①「サイズ直し」
さて、前回に引き続き、TV撮影の報告です!
<前回、「修理ご依頼の接客シーン」の記事はこちら 。>
撮影2日目は、いよいよアトリエでの修理の作業の撮影です。
修理の内容は、大きく分けて二つ。
まずは、サイズ直し。
現在のサイズだと、小さすぎて入らないため、エンゲージリングとしてお使い頂くために、サイズを広げます。
次が、取れてしまった石の追加取り付けです。
付いていたと思われる7つ目の石、アメジストをお入れします。
それでは、サイズ直しの様子から。
サイズを大きくする修理は、リングを一度切断し、大きくする分の金属(ジュエリー用語では地金と言います)を挟み込むように足して、溶接(ジュエリー用語ではロウ付けと言います)しなおし、サイズを広げます。
今回のリングのサイズ直しで難しいのは、アンティークに近い70年近く前のリングなので、拝見する限りはゴールドなのですが、地金の種類を表す刻印が無いのです。通常貴金属は、「Pt900」(プラチナ)や「SV925」(シルバー)といった刻印が入っていて、18金ゴールドの場合は、「K18」もしくは「750」という刻印があるのですが、お預りしたリングにはそういった刻印が無く、色合いなどから、14金のゴールドであると推測し、修理を進めることにしました。
地金の種類がわからないと、一番のリスクは、融点がわからないため、リングを溶接する際に、リング本体が解けたり崩れてしまったりする事です。
今回は、幸い、サイズを小さくするため、切り取った小さな地金の破片を使い、融点が予想以上に低くないことを事前に確かめることが出来たので、少なくともその心配はなくなりました。
次に難しい点としては、石が入っている指輪のサイズ直しなので、溶接の際に石に熱が伝わってしまうと、石が変色してしまったり、割れてしまったりするので、地金部分は溶かしながら、石には熱が伝わらないように工夫する必要があります。
そこで、登場する秘密兵器は「水に濡らしたティッシュ」です!
写真だと小さくてわかりにくいですが、石の部分に、濡れたティッシュを巻きつけ、そのまま酸素バーナーで石と反対側、サイズ直しをする部分を溶接します。
金は、熱伝導がそれほどよくないので、暫くは火が当たっている箇所だけが赤く熱されます。暫くすると、リング全体に熱が伝わり、ティッシュから激しく蒸気が上がりますが、水が蒸発しきらない限りその部分は100度を越えることが無いため、石が熱から守られます。溶接する部分は地金の溶ける約1000度に、石の部分は100度以下に。
すばやい手際と正確さが求められるまさに職人芸です!
特に修理でお預りするリングの場合は、一つしかないもので失敗は許されず、また今回のように地金の種類がわからない場合など、実際に火で熱してみないと溶接できるかどうかわからない一回限りの出たとこ勝負なのでなおさら。
無事、見事一回の溶接でサイズ直しが出来ました!
さて、次回はいよいよ石留めです。
[お仕事やお店の日常 アトリエ製作現場 メディア掲載<TV・映画・雑誌等>]【TV取材】撮影の様子 その1 修理ご依頼の接客シーン
先日、アダン店頭とアトリエで、TV番組の撮影を行ったので、ご報告します!
番組については、放映予定が決まり次第、また正式にアナウンスさせていただければと思いますが、某オンデマンドTV局より取材の依頼があり、シリーズで放映しているドキュメンタリー番組の「ジュエリーの修理」の回の撮影をお引き受けする事になりました。
撮影の内容は、TVや雑誌によくある、いわゆる撮影のためだけの”仕込み”の修理ではなく、修理の依頼者もモニターで募り、その依頼者のお品物を実際に修理する一連の様子を撮影するという、かなり本格的なもので、
撮影は、修理依頼の接客シーンから実際の修理作業の様子、アトリエや店舗のイメージカットの撮影と丸2日間に渡って、行いました。
これまでにも、雑誌で取り上げていただく際やTVの取材協力など、受けさせて頂いておりますが、今回はその中でもずば抜けて本格的なものでした。
まず、初日は、修理の依頼を受ける接客のシーンの撮影から。
お客様の二人がいらっしゃってまず、ビックリ!
外国人と日本人のカップルとお聞きしていましたが、なんと彼が身長2メートル以上!のフランス系カナダ人。
音楽関係のお仕事をされているそうで、とても雰囲気のある素敵なお二人。
今回の撮影で、修理を担当する事になった、当店のベテラン職人の新藤研二が、お二人から、修理の依頼を直接伺います。
そして、次にビックリだったのが、修理のためにお持ち頂いたリング。
事前の打ち合わせで、お預かりする修理のお品物が、かなり昔のリングであること、そして修理の内容も難易度が高そうだと思っていましたが、そのリングは、カナダ人の彼のおばあさまがオーダーメイドでお作りになったリングで、ゴールドのリングに、7人の息子さんの誕生石が留まっているというもの。そちらのリングを、彼が譲り受け、修理をして婚約指輪として使いたいというご依頼でした。
修理の内容は、まず彼女が身に着けられるように、大きすぎるサイズをサイズ直しする事、そして、7つの石のうち、一つの石が無くなってしまっていて、その石を取り付けるというご依頼です。
なくなってしまった石にも、またストーリーがあり、彼の話では、おそらく第2次大戦中に若くして戦死してしまった一人の息子さんの誕生石がアメジストで、その石がなくなっているとの事。
よく拝見すると、取れてなくなってしまったというより、石座ごと取ってしまったような跡がありました。
強い照明とカメラの前で、お客様も新藤も最初は緊張している様子でしたが、徐々に慣れてきて和やかに話が進み、修理の内容と、ほぼアンティークジュエリーの扱いとなる修理ですので、修理によって起こりうるリスクについてもご説明して、接客のシーンの撮影は無事終了しました。
その後は、アダン店頭とアトリエのイメージカット、そして修理を担当する新藤の紹介カットの撮影を行いました。
店内にもアトリエにも、カメラ移動用のレールまで敷いての大掛かりな撮影。とても新鮮な経験でした。
お店も勿論ですが、雑然としたアトリエも、あまり綺麗とはいえない使い込まれたや工具も、カメラのフレームに収まると、何倍もよく見えてくるから、さすがプロは違うなぁ、と感心仕切りでした。
さて、次回は、日を改めて実際の修理の作業の撮影です!
[メディア掲載<TV・映画・雑誌等>]レディス4に代表藤森が出演しました
弊社代表の藤森が、テレビ東京の「レディス4」(2011.4.4放映)に出演致しました。
女性の資格に関する特集の中で、ジュエリーコーディネーター1級の資格をお持ちである玉川高島屋DIVINA の副店長、古谷理枝さんを紹介する場面があり、ジュエリーデザイナーとして接客シーンの撮影をお手伝いさせて頂きました。
日本ジュエリー協会が主催するジュエリーコーディネーター は3級からありますが、その最上位である1級は実は超難関の資格で、まだ日本に22名しかいないのです。
DIVINAさんには、藤森の作品を常設展示させて頂いていている縁で今回お声掛けいただきました。
撮影では実際のお客様にご協力いただき、古谷さんが商品をオススメするところをサポートするという役目でした。
古谷さんも気を使っていただき、藤森の作品をお客様におすすめしていただき、撮影中にもかかわらず、かなりリラックスして和やかに商談が進み、撮影だけのつもりが、なんと実際にその場でお買い上げいただくことになりました!
しかも、お買い上げいただいたのは、2009年のジャパンジュエリーアワードでの入賞作品である、こちらのリングです。
TV撮影の中で、ちゃんと気に入っていただけるものとしてお薦めできる古谷さん。
さすがジュエリーコーディネーター1級ホルダー!ほんとうに接客のプロです!
そして、かなりつける人を選ぶこんな個性的なリングを、さらり違和感なくつけこなしてしまうお客様も、様々なジュエリーを身に着けなれていらっしゃる証拠。素晴らしいです!
震災後一番嬉しい一日でした!